震災とパソコン活用第二回「震災時にパソコンで役立てること」

昨日に引き続き本日も震災とパソコンについてのお話です。

今日は今考えると震災の時にこうすればよかったなと思うことをいくつか書いてみようと思います。震災当時にできなかったことでも今できるようになっていることも含めて紹介していきます。

安否確認

安否確認の仕組みは震災後に10くらいの仕組みを作りましたので一番詳しくお話することができます。

社員・スタッフ、顧客など、まずは無事であることを確認することが大事です。そのための安否確認は一刻も早くできる仕組みになっていると良いのですが、個別にシステムに安否を登録するには、地震が起きてからネットワーク網がダウンするまでの間に行わなければなりません。おそらくメールで安否を報告している時間はないと思います。

また、安否確認のシステムサーバーを社内に設置していた場合電源の確保ができなくなった時点で安否確認ができなくなります。

携帯電話のメールは電話がパンクすると同時に使えなくなりました。しかし、Webへのアクセスはその後も続いていたので、Webによる連絡システムがあると良いのかと思います。

欲しい情報は詳しい状況なのですが、誰が無事かどうかを確認するのがマストで、その後にどこいてどんな状況なのか、出社は可能なのかが続きます。

実際にそういったものを呼び出して入力して送る、というだけでも送る側としてはそれどころではないのでできるだけ単純化しておくとよいでしょう。

まず、1つ目の画面ではアクセスするだけで名前と安否情報が送られるという仕組みにしておくと良いでしょう。同時に位置情報が送られるとなお良いです。 その画面にどんな状況なのかと出社は可能なのかを入力できると良いでしょう。

その画面へのアクセス方法なのですが、ブックマークに登録しておいてそれを呼び出すというだけでも非常時は大変ですので、SMSやメールなどで個別に安否確認システムのURLが送られると便利です。それは非常時に誰かが何かの操作をしないと動かないのではなくて、気象庁の地震速報を取得して実行するとか、独自に設置した加速度センサーなどで揺れが検知されたら自動的にメールが配信されるという仕組みになっているのがベストです。

非常連絡網

普段より用意しておきたいものが社内SNSです。通常業務でもきっと便利に使えると思うのですが、非常時にはより強力な連絡ツールになります。

仕組みとしてはMicrosoft Teamsはかなり理想に近いのですが、おそらくセキュリティーがカチカチになので、非常時でトラフィックがパンクしている状態でどのくらい使えるようになるのかは未知数です。

名簿管理

避難所でExcelが役に立ったという話を聞きました。

Excelに入力しておけばその避難所に誰がいるかわかるので、そこに親族や知り合いがいるか訪ねて来た時にノートに記入していた場合はそれを一つ一つ探すので大変な作業になりますが、Excelに入力しておけば素早く検索することができます。

これは何もExcelではなくてもよくて、メモ帳にテキストで入力しておいても検索はできます。

名簿にする項目は多いと大変ですので、最低限でよくてひらがなの名前と生年月日だけでよいと思います。

名前はひらがなである理由は検索しやすくするためです。生年月日は同姓同名の人がいた場合のその人を特定する情報になるためです。

その場にあるパソコンで出来る範囲でやるために最低限のことだけでよいのです。

医療

震災の時によくニュースで聞いたのが、なんの薬を普段飲んでいるのか分からないので処方できないというものでした。

普段からコンピュータに対しては電子カルテや薬局のシステムで誰が何の薬を飲んでいるか入力されていますが、非常時にはその情報が使えないのです。

あたりまえな話なのですが、その入力された情報は共有されていないのです。共有されていて、医療機関で名前と生年月日を入力したらその人に処方されている薬が 出てくるようなものがあると便利だなと思いました。

非常時のパソコン利用で気を付けること

電源

大災害時には停電がおきます。企業では非常時のバックアップ電源も用意されていると思いますが、それにしても有限です。 復旧までどのくらいかかるかはわかりません。東日本大震災の時は燃料の入手も困難になったため、社有車や従業員の車からガソリンを取って発電機の燃料にあてたという話も少なくありません。

しかし、情報機器は生命に直接関わりがあるかと言うと、暖房などに比べれば優先度は落ちます。

できるだけ燃料に頼らない、太陽光などでの発電だけで動かせるような仕組みが欲しいところです。

また、なるべく電力を使わないような仕組みも必要で、パソコンよりはタブレット、スマートフォンの方が運用しやすいでしょう。

ネットワーク網

安否確認にしても非常時の連絡網にしても、 ネットが無ければ使えません。

当時よりも早く復旧できるようになりましたので、モバイルの通信網は2日くらいで復帰するかと思います。東日本大震災のとき、震災当日には光回線は動いていたと記憶しています。

個人情報

安否確認と医療では様々な情報を集められると良いのですが、その時に優先するのは、個人情報保護なのか、それとも生きるための情報なのかという選択があります。

ネット情報のやり取りをする上では、暗号化した情報でやりとりをしますが、その場合、回線に流れる情報量が少なからず多くなります。

安否確認の時に回線が混雑していましたので、安否情報をサーバーにアップする、最後の1文字のところまで確実に送ることができる度合いとしては、暗号化されている情報よりも暗号化していない情報のほうがより確実です。とはいえ、今は通信網がかなり強化され、内部の処理時間も早くなったので暗号化されていても当時の無暗号化したものよりも確実にはなっていると思います。またブラウザにしても暗号化されていないサイトにはアクセスできなくなってきているので暗号化通信をやめるということは事実上難しいのかもしれません。

通信網の話よりも、安否確認をするときに個人情報をどれだけ考えるかというのも議論になるところかと思います。連絡が取れていないスタッフの名前と顔写真をTwitterにアップすることはどうなのか、本人の許可なくやっていいのか、しかしそれをすることで本人・家族が助かるかも知れないと考えた時、個人情報保護の価値とはなんなのだろうかと思うところがあります。

次回明日の第3回目は「復興のためのパソコン利用」です。

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