ビジネス分析って難しくないよ

Excelのビジネス講座なんかに行くと、構成比はビジネスで大事だからその求め方を教えます、と教えられます。
構成比を求めることはできるようになるのですが、果たしてそれが何なのでしょうか。
構成比は確かにとても大事なのですけど、何のために構成比を求めるか、その目的あっての求め方なのですが、なかなかその目的は人それぞれですので、講師もセミナーだと教えきれないかなと思います。なので、そういう話はプライベートレッスンやコンサルタントでお話するようにしていますが、今回は、そのビジネス分析セミナーで紹介される方法がわかるとなにができるようになるのか、基本的な例と、その技法を使った応用の例をいくつか紹介します。

ビジネスの目的

ビジネスの目的は、私は、こう考えます。
それぞれの個人や組織ができる能力を発揮して、何かに貢献すること。
そのためには活動する資本が必要です。なので、企業は効率よく売り上げを上げ、効率よく費用を減らし、利益を上げること。
それが企業の目的ではないかと。
そのためにビジネスの結果を精査し、これからの方針を決めるためにビジネス分析があると考えます。

ビジネス分析

とか言っちゃうとものすごく難しく感じますけど、実はやることは足し算と割り算だけです。
関数とかも使わないし。もっとExcelを使いこなしてしまうと、計算なんか一つもしないで結果出せます。
ビジネス分析って、手法的には算数でできるんです。
そのビジネス分析は何を知りたくてするのか、ですが、これは大きく分けると2通りの目的があります。
売上がどうやったら上がるか、それと、費用がどうやったらかからないか。
で、今回は、具体例として、次はどの商品の宣伝に力を入れるか。それをデータを分析して決めてみたいと思います。
今回あるデータは、次のようなデータで、2016年10月から2019年4月までのどの商品をいくらで販売したかの一覧表です。

見てもらえばわかるように、データ量は1000件近くあるものの、構造的にはもとのデータもそんなに複雑じゃないんです。このデータだけで分析すればいろいろな角度で役に立つ情報を浮かび上がらせることができるんです。

ABC分析

今回のように、どの商品に力を入れるといいのか、それを単純に浮かび上がらせるのがABC分析です。

例えば、考え方としては、売れていない商品に力を入れるか、売れている商品に力を入れるかと考えるのですが、おそらく100人に売れるものを200人にするよりも、1000人に売れるものを1300人に売れるようにする方が成功する可能性としては高いんじゃないかって思います。
そうだとして、では上位の売上の何種類の商品に力を入れたらどうなるか、それを判断します。
ABC分析の結果は、次の通りです。

販売額の多い順に商品を並べ、販売額を第一軸に棒グラフで、販売額の比率を累計したものを第二軸にして棒グラフにします。
これは、元データをピボットテーブルで商品ごとに集計したデータを、Excelのグラフの統計グラフの中のパレート図で一発で描けます。

その前にこのデータは確か2018年のデータのみにして作成してますね。
このデータを見ると、上位3商品でだいたい全体の20%、5商品で全体の30%を売り上げているようです。
この上位何商品の売り上げパーセンテージを増やすために、宣伝する商品を絞れば、少ない広告費で売り上げを伸ばすことができます。
ちょっと今回は用意したデータが全商品の売り上げが平均的なデータになってしまったのですが、実際に販売してみると、上位3割くらいの商品で70%の売り上げになっていたりするので、そういう場合は、売れない商品の宣伝は縮小して、売れる商品に力を入れた方が広告費用を抑え、効率的な広告を打つことできるようになるのです。

ABC分析の応用1

上の例ではABC分析を広告費で求めてみましたが、これは営業先の選定でも同じことができます。
例えば、普段から積極的に問い合わせをしてくれる数を取引先ごとに記録します。
そのデータをABC分析すれば、売上を上げるための営業先はこの何件だな、とか、新規開拓するのにはこの何件だなという効率的にポイントを絞り込むことができます。

ABC分析の応用2

ヒヤリハットの分析もできます。
例えばだいたいでいので、もしそのヒヤリハットが最悪の結果になっていたときの被害額をヒヤリハットの種類と一緒に記録し、集計して、ABC分析すると、リスクを減らすために優先して取り組まなければならないことの優先順位を決めることができます。

PPM分析

さて、ABC分析では、売上の多い順、少ない順に注目しました。
それでピックアップした商品ですが、売上金額は高いかもしれないですが、もしかしたら、売上が下がり傾向のものかもしれません、もしくは逆に、売上金額は低いかもしれないですが、これからどんどん売れていく商品なのかもしれません。もし、それを間違うとせっかくポイントを絞り込んだものでも、見当違いになりかねません。
今回のように日時が一緒に記録されているものは、売上の他に、前の状態と比べるとより深く状況がわかります。
これをPPM分析と呼びます。
横軸に、売り上げ全体に対するその商品の割合、縦軸に過去と比べた時の成長率を表した散布図を作成します。
例えば、今回のデータであれば、2018年と2017年のデータはすべての月の分、そろっているので2018年の商品ごとの売上割合と、各商品の前年比を求めてみます。

それで作成したPPM分析したものが次の通りです。

構成比は高いものが左側にという軸の反転をしています。
左上に成長度が高く売上構成比もある商品があります。これらは「花形」です。
右上に成長度が高いのだけども、主力商品の仲間になり切れない「問題児」がいます。

左下には成長度が低いのだけども、主力商品で売り上げを持っている「金のなる木」があります。
右下には、成長もしていない、売上もない「負け犬」がいます。
どうですか、みなさんならどの商品に力を入れてみたいですか?
ABC分析でも上位だったB10、B5、A01はまだ成長しそうなのでいけるところまでいきたいですよね。
B09あたりは金のなる木ではありますけど、そろそろ負け犬に入りかけているのであまり力を入れなくてもいいでしょう。
あと、私は問題児のB04に力を一番入れてみたいです。
成長度合いが著しいので、ほんの少しの投資をして、今課題になっている、知名度なのか、製品の使いやすさの改善なのか、そういうものをよくするために資金をいれていきたいですね。

PPM分析も、ABC分析同様、エラーの中で一番初めにやらなきゃいけないことなどを絞り込むのにも応用できます。

動画

今回の内容の操作をしたので動画にしてみました。
よければご覧ください。

まとめ

今回の記事は、Excelを何十倍も価値のあるものにすることを目的に、ビジネス分析のことを書いてみました。
手法は簡単で足し算と割り算しかしていないのですが、イマジネーションを働かせて、今あるデータから何が見えるかを自由な発想で考えることは実はかなり難しくて、はじめはこじつけでもいいので、目の前にあるデータから自分の知りたいことを取り出して、思った通りなのか、期待外れなのか、そういうことを本当に自由にやってみるのが一番の練習になります。
そのためには、ピボットテーブルの操作は外せませんし、そのデータをいかに見やすくするかというグラフ編集の力も求められます。

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